2010年2月27日(土) ◎上を向いて歩こう! 今朝、拙宅の斜向かいに住んでいるアンダーシュが玄関のドアをノックした。 車のフロントガラスに雪と氷の固まりが落ちて来てガラスにヒビが入る危険があるから、車を移動した方が良いと思うという親切な忠告!カリンが早速、車を移動しに出て行ったが、アンダーシュは拙宅の隣のスベンソン宅にも同じ忠告をしに行っていたところで、スベンソン宅の旦那さんは、ドイツのスウェーデン学校の校長で、ドイツに行っている。 スベンソン夫人も近所の小学校の先生なのだが、家の前に積もり上げられた雪を避けて、バックで路上に出るテクニックが無いと云う事で、僕が彼等の車を移動することになった。 先週の今頃は、まだテネリフェ島のプエルト・デ・ラ・クルーズに居たのだと思うと、何か不思議な気がする。 ちなみに忠告に来て呉れたアンダーシュは、イェーテボリ交響楽団のファゴット奏者で、フィンランド人の奥さんも同交響楽団のバイオリン奏者だ。 確かに路上を歩いていると、突然、雪と氷の固まりが、屋根から落ちて来るのだ! 拙宅のある英国式長屋は、窓が付いている半地下階、地上2階、プラス屋根裏部屋という構造だから、実際は地上3階半在る事になる。これから暖かくなってくると、かなり上を向いて歩かねば危険な様だ! 多分、日本でも雪の多いところは同じ状況だと思うので、要注意! ◎スウェーデンの子供達と音楽の接点について ・2月22日(月) 今週の月曜日に12時間遅れでイェーテボリに帰宅! 先週末の大雪の影響で、またまた降り積もっていた車庫の前の雪かき作業を始め、10時からのボーヒュスレーン・ビッグバンドのリハーサルに行く。 大雪の影響で、雪に弱いSJ(スウェーデン版JR)の電車は、全国的に運休となり、ストックホルムから来るバリトンサックス奏者のアルベルト・ピントンやトロンボーン奏者のカリン・ハンマー達は、リハーサルに来られなかった。 ・2月23日(火) 火曜日はイェーテボリの郊外に在るクンゲルブ市の学校でコンサート。 コンサートの内容は、去年から何度も行って来た『Kul Djur I Dur』・・・日本語風に云うと、『サバンナの楽しい動物たち』・・・という感じのタイトル。 ・2月24日(水) 水曜日の早朝から泊まりがけで、イェーテボリからバスで内陸に3時間ほどの処に在るスモーランド地方のトラ-ノース(Tranås)という町へ行く。ここの高校のホールで12時から小学生達を対象にした『サバンナの楽しい動物たち』のコンサート。そして、夜は同じ会場で、一般向けのコンサートを行う。 この夜の方のコンサートでは、前座バンドとして、地元の10代の子供達、男の子と女の子達が混ざっているビッグバンドが出演した。 エレベーの女の子が、実に良かったし、ドラマーも素晴らしかった!あまりにもしっかりとしたタッチなので聞いて見ると、エレベーの子は最近までチェロをやっていたそうだ。 コンサートが終わると、僕だけのサインが欲しいと云うおッサンが来た。話を聞いてみると、彼はコントラバス奏者なのだそうだ!ジャーマン弓を使っていると云う事で、ひとしきりそう云った話をし、スティーブ・スワロー&ボーヒュスレーン・ビッグバンドのCDにサイン! 水曜日と木曜日の晩は、ジョンショッピングという比較的、大きな町のホテルに泊まる。 夜、レストランでヨーハン・ボリストゥルム達と食事をしたが、話題が、何故、ジャズを始めたのかという話題。僕にもその質問が来て、僕が高校一年生の時にラグビー部に入り、秋の文化祭で一年生が当時流行っていたフォークソングのバンドでコントラバスを弾くことになり、その頃、FMラジオで由井正一さんのジャズ番組を聴いてからジャズにのめり込んだ話をした。 ・2月25日(木) 木曜日は、ジョンショッピングの近くのハーボー(Habo)という町の学校に行く。 午前中から、180名のハーボーの小学3年生達が体育館に集まって練習をしている。 ステージもプロの音響さんと照明さんが来て、バッチリだ。 ランチの後、その晩のジェネリハに備えてのジェネリハ。(笑)120名の子供達の歌声は、いつ聴いても良い!その上、地元の高校のダンス科2年生の可愛らしい女の子達がダンスで参加。ステージの両端には、紙で作られたアフリカの動物たちをシンボルした造形作品が置かれていた。多分、美術の先生が作ったモノだ。 夜のジェネリハ本番は、子供達の両親や家族達で体育館が満席で、無事に終了! ・2月25日(金) 翌日の金曜日は、朝から地元の幾つかの小学校の子供達800人を前に、いよいよ本番だった! 勿論、大成功の内に無事に終了!このプロジェクトは、地元のカルチャースクールの先生や、音楽の先生達が一致協力して、成功に導いたモノだと思う。夜は同じハーボーの町の古い織機工場跡が、『Spinnet』というコンサート会場となっていて、大人向けのジャズコンサートを行った。が、ここでもハーボーのカルチャースクールの子供達による、ビッグバンドの演奏が有った。正式名は、Habo Kulturskolans Storband!!! ふと観て見ると、朝のコンサートの総リーダーだったカルチャースクールの校長先生が、トランペットのセクションには子供達に混ざって演奏していた。ドラム奏者が急遽、病気だったとかでドラムの先生も演奏していた。 彼等の演奏はこれまたなかなか素晴らしく、ここでも若いエレベー奏者の男の子が、なかなか良い演奏をしていた。6弦のフレットレス・ベースだった!ギターの子も、いかにもギター奏者という感じで、長い髪の毛を振り回しての熱演! 僕達のコンサートが終わってから、ベースの先生が来て、『僕達の学校にはコントラバスも有るのですが、ハウリングが起こりやすくて・・・』と、相談を受けたりした。(笑) どうも先生達はイェーテボリの音大の出身の人が多く、このベースの先生は、僕が以前、良く一緒に演奏していたロルフ・ヤードマルクの友達なのだそうだ。 ベースの子は、デニス・ダーヴィッドソン(Dennis Davidsson)君! 17歳になったばかりだという。上には、1983年生まれのお兄ちゃんが居て、トロンボーンを吹いているそうだ。 『お父さんやお母さんは、何か演奏するの?』・・と聞くと、お父さんが、昔、少しドラムを叩いていたそうだ。 今回はトラ-ノースとハーボーと云う、本当に小さな町に行ってコンサートをしてきたが、スウェーデンの町には、カルチャースクールとか、コミュナール・ミュジーク・スコーランという名称の学校が在って、子供達はどの様な楽器でも、一学期500SEK (約¥6200円)位の低価格で、週数回のレッスンを受けられる。 スウェーデンは米英に次いで音楽著作権の輸出大国なのだが、その原動力は、こういった子供達に対する、音楽教育のシステムが重要な役割を担っている事は間違いない! 政治家達は、何かというと、コミュナール・ミュジーク・スコーラン等の予算を減らし、最近は、国営だったモノがどんどん地方分権になっているので、各市の政治家達がそう云う予算を減らす傾向が多く、どこそこのコミュナール・ミュジーク・スコーランが閉鎖されそうだとか、良く新聞に載っているのだが、・・・その度に音楽の収入が、スウェーデンという国家にとって、非常に有益なのかと云った議論もされている。 ボーヒュスレーン・ビッグバンドが、そう云った小さな町の子供達のコンサートに伴奏に行くと云うのも、この国では不思議な事では無いのだ。 どうやら、今年の6月、ストックホルムのジャズクラブFaschingが中心となって行っている、ストックホルム・ジャズ週間に、子供向けのコンサートで出演して欲しいと云う話が来ているそうだ。 折角、ストックホルムにボーヒュスレーン・ビッグバンドが行くのだから、ジャズのコンサートもやれなければ、行かない方が良いと云うメンバーもいるのだが、日本でもスウェーデンでも、昨年のコペンハーゲンでも、ジャズ祭という名前が付いていると、子供向けのコンサートが必要なのは、何処も同じ傾向にある様だ。 明日、2月28日は、やはりスモーランド地方のネッフェーと云う町で子供達のコンサートを行い、夜は大人向けのコンサートを演奏しに行く予定。 将来を担う子供達が、僕達と一緒にプロジェクトを行う事によって、人生の中で忘れられない想い出を作って貰いたい!数日前に仲間達に語った様に、何が発火点になってジャズを好きになるのか判らないのだから・・・。『ジャズよ!永遠に在れ!』・・・・アレッ!??? 来週はボーヒュスレーン・ビッグバンドは休み!その代わり、アンダーシュ・パーションの「Personkrets Ⅱ-V-Ⅰ」の演奏をイェーテボリの"Jazz Club Nefertiti"で3月5日(金)に行う予定。 そして、4月の第38回スカンジナビアン・コネクションの為のリハーサルを重ねる予定だ。 再来週からは、Bohuslän Big Bandに音楽監督のNils Landgrenを迎えて、サド・メル楽団の曲を演奏し3月中旬にツアーを行う。
by yasuhito_mori
| 2010-02-28 08:34
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