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イェーテボリ国際映画祭 (3)

明日、2月7日(月)に最終日を迎える第34回イェーテボリ国際映画祭ですが、5日の晩に各賞の受賞作品が発表になりました。中でも特に注目されているのは、『ドラゴン賞ベスト・ノルディック・フィルム賞』です。これは北欧で制作された映画与えられる賞で、今年から賞金額が大幅に引き上げられて100万SEK (約1270万円)になりました。監督と制作者に与えられる訳ですが、これは北欧の映画関係者には大きな意味が在ると思います。 受賞作はスウェーデンの新人監督Lisa Aschan の作品“SHE MONKEYS” (Apflickorna)でした。
スウェーデンのラジオ・インタビューですが、YouTubeで見かけたので、下記して置きます。

こちらも参照して下さい。
http://www.sfi.se/en-gb/Swedish-film-database/Item/?type=MOVIE&itemid=68811

その他にもスウェーデンのドキュメンタリー映画に与えられる賞とか、幾つかのカテゴリーがありますので、詳細は下記のURLを参照して下さい。
とにかく、443本の映画に13万人強のチケット売り上げとなり 前年比で1.4%の観客動員数の増加だそうで、イェーテボリ国際映画祭としてはこれまでの史上最高だそうです。つまり大成功!
地元のイェーテボリ・ポステン紙によると、特に人気が高かったのは"Black swan" 、"The king's speech", "Kongen av Bastøy"だったそうです。

http://www.giff.se/us/nc/public/artikel/post/she-monkeys-wins-dragon-award-best-nordic-film-675.htmlShe Monkeys

今日、僕は、橋本直樹監督の『臍帯』と、加藤直輝監督の『アブラクサスの祭り』の2作品を観に行きました。『臍帯』の方は、昼の12時半からイェーテボリ市営図書館で上映されたのですが、橋本直樹監督が会場に見えていて、終了後、観客からの質問を受けたりもされ、「 作品のアイデアは何処から来たのか?」とか、幾つかの質問にも答えて呉れました。
60年代から80年代にかけて、新宿を中心に ATG (アートシアターギルド)という存在がありました。 商業主義に拘らない作品を創ることを目指していた大島渚、篠田正浩、吉田喜重、今村昌平、新藤兼人等、多くの映画監督、寺山修司等の演出家、渡辺貞夫、日野皓正、高柳昌行と云ったジャズ奏者、武満徹といった作曲家とも深い関係に在り、あの時代の日本に大きな影響を与えた訳ですが、橋本監督に今、ATGの様な存在が在るのか日本の状況を聞いてみたのですが、僕の聞き違いでなければ、彼自身、テレビのプロデューの仕事をしながら商業主義ではない作品を創ろうとしている様で、今の日本はテレビ中心で、スポンサーを集めると云うのもかなり困難なのだと云う事を話されていました。

橋本監督はこれまで、中編の作品を2本創られたそうですが、長編映画は『臍帯』が初めての作品とのこと。 今回の『臍帯』は、世界各地の映画祭で今回を入れて3回上映されているそうですが、 以前から彼の中で暖めている別の長編映画の構想が在るるとのこと。困難な状況の中でも頑張っているんだナァと思いました。こういう映画監督には、心から声援を送りたいと思います。
オフィシャル・ページは下記です。
http://www.saitai-film.com/staff.html

『アブラクサスの祭り』の祭りは、夕方からハリウッド映画も上映している大きなシネマ・シアターで観たのですが、こちらは原作の小説を上手く映画化していると思いました。
オフィシャル・ページは下記です。
http://www.aburakusasu.com/index.html#/introduction/

これまでは大抵、この1月下旬から2月上旬に僕自身のツアーとか録音の仕事に追われることが多く、イェーテボリ国際映画祭では何も観られないことが多かったのですが、(笑)・・・今回、改めて感じたのは、ハリウッド映画以外にも多くの素晴らしい映画人が世界中に沢山いて、それを観たい観客も沢山いると云う事。
映画制作の事とかは良く知りませんが・・・ 、そもそも映画を制作すると云うのはリスクが大きく、赤字を覚悟しなければ出来ない事なのだと思います。特に敢えて困難な状況の中で努力されている映画人達に拍手と声援を送りたいと思います。・・・偉そうな事を云ってしまいましたが、映画とか音楽、演劇、といったカテゴリーで満足の行く作品を創って行くと云うのは、なかなか大変なことと改めて痛感しました。マァ、それでは最後に一言締め!
日本の映画人達よ!ガンバレ!!!! (笑)

スウェーデンの森
PS) 写真アルバムを追加しました。
http://web.me.com/morimusic/morimusic/110205_Sk%C3%B6vde_Musik_Gymnasium.html
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by yasuhito_mori | 2011-02-06 22:51 | 映画

イェーテボリ国際映画祭(2)

昨日、インターネットで『人類史上初、天然ニホンウナギの卵採集に成功』というニュースを読みました。あらためてウナギというのはかなり謎の多い生き物だなと思いました。マリアナ諸島沖で生まれて、上手い具合に黒潮に乗り継いで日本まで来るのでしょう!・・・・・・自然の素晴らしさを感じますネ!

最近、スウェーデンでもウナギの捕獲量が減ってしまい、捕獲禁止の必要性があるとか聞いたばかり!詳しくは知りませんが、こちらのウナギ(ヨーロッパウナギ)は、卵を産む為に大西洋を渡ってサルガッソー海まで行くそうです。そしてまたスウェーデンとかデンマークまで戻ってくるのだから、凄いです。
単純に考えると、天然ニホンウナギはマリアナ諸島沖から日本、ヨーロッパウナギはサルガッソー海からヨーロッパと長旅をして、蒲焼きになったり、燻製になったりするのですから、ウナギの身になって考えると堪らないでしょうネ!・・・・・・ウッ!なんか、浜松の鰻屋さんの匂いを思い出してしまいましたから、この辺で次の話題に飛びます!

先日、このブログでイェーテボリ国際映画祭について書いたのですが、先週末から数本の日本に関係した映画を3本観てきました。
ちなみに昨日のイェーテボリ・ポステン紙では、『ノルウェーの森』のトラン・アン・ユン監督のインタビュー記事が載っていました。残念ながら、発売と同時に売り切れになってしまったので、チケットは購入できませんでした。

さて、僕が観たのは、ピルヨ・ホンカサロ監督の『糸―道を求める者の日記』、岩名雅記監督の『夏の家族』、そして石井裕也監督の『川の底からこんにちわ』の3本でした。

『糸―道を求める者の日記』は、若い浄土真宗のお坊さんのドキュメンタリー映画で、『何で僕達は生きているのか?』という問いかけから始まり、その僧侶が道を求めている姿を捉えた素晴らしい作品でした。
先週の火曜日に、僕達の友人の息子さんの奥さんが、かなりアグレッシブな悪性の白血病と診断され、これからかなりタフな治療を開始すると云う話を聞いたばかりだったのですが、診断結果が出て、たった12日後の先週の火曜日、彼女は2歳と4歳の子供達を残して、32歳という年齢で亡くなってしまったのです。彼女が亡くなった事を僕達が知ったのは、この映画を観た前日という事もあり、無常観とか、生きている意味とか、かなり考えさせられた次第です。観客も映画が終わった時に盛大な拍手を送っていました。
http://vowz-bar.com/media.html

『夏の家族』は、舞踏家の岩名雅記さんが監督をされた作品で、ポルノグラフィーに当たるシーンが5分間有ると云う事は、プログラムにも書かれていました。が、とても美しいノルマンディーを舞台にした映画という事で観に行った次第。要するにノルマンディーに住む日本人の舞踏家が居て、東京に妻と娘が居て、夏になるとノルマンディー、夏が終わると日本へ戻るという設定。そして舞踏家には、ニューヨークに住む女流舞踏家の恋人が居て、奥さんが来ると彼女はニューヨークに戻り、夏が終わるとノルマンディーに来て、その舞踏家と一緒に住んで居ると云う設定です。が、娘というのは、声しか聴けず、果たして生きているのかどうかというのがよく判らない映画でした。そこが狙いなのでしょうが・・・!
確かに美しいとは云え、白黒のフィルムですから、特有の雰囲気がある映画でした。
こちらのお客さんには、日本人男性の舞踏家が、2人の女を好きな様にしていると云った、不平等な印象を持つ人も多かったと思います。が、人間の自由とか創造性とか云った観点から見ると、なかなか面白い映画かも知れません。娘の存在が一つの重要な鍵になっている気がします。
私小説のような映画なのかも知れませんが、・・・・牡蠣とキュウリの酢漬けは、しばらく食べる気がしません。http://natsunokazoku.main.jp/

『川の底からこんにちわ』は、コメディータッチの映画でしたが、ヒロインのSAWAKOを演じている満島ひかりという女優さんが、なかなか良い演技をしていると思いました。ストーリーが軽快なテンポで進行して行くのでとても分かり易かったです!どうもこの映画の中では、何事も女性がリードしている感じで、男って馬鹿なんじゃないかと思えたりしました。ヒロインの父が倒れて、派遣社員のOLだった女の子が故郷に戻り、父のシジミ会社を建て直すのですが、『自分は凄い金持ちでも無いし、何の取り柄も無い、美しくも無い・・中の下の人間なんだから、・・・・だから頑張らなくちゃ!』という気分に同感してしまいました!この映画もお客さんから大きな拍手でした。
http://www.cinematoday.jp/movie/T0008482

2月6日(日)には、日本からの映画を2本観る予定です!

ところで、昨日、2月2日はスウェーデンの生んだ世界的なテノール歌手、Jussi Björling の生誕100年記念日でした。(1911年2月2日〜1960年9月9日)
http://www.youtube.com/watch?v=bUbA5y1hnFg&feature=related

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by yasuhito_mori | 2011-02-03 07:57 | 映画

瞳の奥の秘密

e0125069_6582439.jpg今日は映画を観てきました。
2010年の第82回アカデミー賞外国映画賞を獲得したアルゼンチン映画で、原題は、”El secreto de sus ojos” /日本語タイトルは『瞳の奥の秘密』 /英語では”The secret in their eyes”という作品です。
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先週の金曜日に、ハリウッド映画の子供向け喜劇映画"Furry Vengeance"を観て、ガックリしていたので、今晩はこれを観に行きましたが、なかなか素晴らしい映画でした。

"Furry Vengeance"の方は、観客が子供だけ・・・大人は付き添いの親のみでしたから、僕一人で観に行っていたら確実に『変態オジサン』・・・とか思われたかも知れません。(笑)
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今晩の映画は、70年代と現在が交錯するストーリーでしたから、観客は50歳以上の人ばかりでした。(笑)
今年4月のスカンジナビアン・コネクションの際、たまたま帰国していて、新潟の「ジャズ・フラッシュ」に来て下さったイェーテボリ在住のニット・デザイナー、H、Taekoさんとばったり映画館で出会いました。(笑)

刑事裁判所に勤務して居た男が退職し、25年ほど前に起こり、その男が係わった未解決の強姦殺人事件をモチーフに小説を書こうと決心するところからストーリーが始まります。

それぞれの人達の眼に事物が映り、その奥には一人一人違う『想い』があり『解釈』が在る。

強姦殺人事件から派生して、担当した刑事裁判所の職員、裁判官、美しい新妻を残虐に殺された銀行員の夫、犯人、・・・いろいろな『眼』を通したストーリーが展開します。

事件起こった1975年に戻ったり、現在進行形に戻ったりするのですが、それだけだと、面白く無い刑事物になるところが、主人公・退官した刑事裁判官と、現在は偉くなってしまっている美しく優秀な女性裁判官との心の関係も美しく描ききっているところが素晴らしいのです!
それでいてお互いのプライベートな家族関係とかは一切、出てこない・・・プラトニックな関係‥・とでも云うのかな・・・。

主題は、やはりその二人の心の動きなのですが、それと並行して、かなり残虐な強姦殺人事件、そして凶悪な犯人、事件当時の不安な国内事情、アルゼンチンのサッカー試合とか、・・・いろいろと憎いほど上手な演出がされています。

久々に良い・・・というか、奥行きの深い作品を観ました!超お奨めします!(笑)

この映画、今年の8月に日本で上映が決まっているそうなので、まだ観られていない方が多いと思いますので、これ以上、詳しく書くことは控えて置きます。(笑)
日本版のオフィシャルサイトがありましたから、是非、チェックしてみて下さい!それ以外にも検索したらいろいろな方が、上手に感想文も書いたりしているので・・・この辺で僕の駄文は引っ込めることにします。(笑)

http://www.hitomi-himitsu.jp/

"Furry Vengeance"(邦題は未定)は、日本ではまだ未公開の様ですが、オフィシャルサイトも下記して置きます。住宅販売会社のマネージャーが、大都会のシカゴから家族を連れて大自然に囲まれた森の中に建設される高級住宅街のモデルルームに住むことになり、森の住民であるアライグマとか、・・・いろんな動物達が力を併せて対抗阻止運動を展開するという、単純なストーリーです。ブルック・シールズが、そのマネージャーの女房役で出ていましたが、最初は判りませんでした!(笑)

http://www.furryvengeance-movie.com/

それでは、皆様、良い週末をお過ごし下さい!

スウェーデンの森
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by yasuhito_mori | 2010-06-12 08:29 | 映画

ようこそ、羊さま

一昨日、中国映画を観た。
帰宅してから早速ネットで調べてみると、日本語タイトルは「ようこそ、羊さま。」というタイトルだった。

http://www.cinematopics.com/cinema/works/output2.php?oid=7371

原題“好大一対羊”(100分/中国語 2004年作)
英題“Two Great Sheep”
スウェーデン語題:Två fantastiska får
配給:ワコー/グアパ・グアポ
監督・脚本:リウ・ハオ
出演:スン・ユンクン/ジアン・ジィクン

雲南省のとある村で細々と暮らす夫妻のもとに、地方政府の役人から外国産の二頭の羊が贈られるというところから話が始まるのだが、これがなかなか素晴らしい!

話としては、大したストーリー性も無いのだが、雄大な雲南省の山奥の風景とか、老夫婦の羊に対する愛情、地方政府の役人、村のリーダー・・・といった、権力に対する風刺もあったりで、見終わってから暖かい気持ちになれるイイ映画だった。最高にお勧め。

最近、No.1レディース探偵社シリーズという、アレグザンダー・マッコールの一連の作品を読んでいるのだが、アフリカの大地を背景にしたのどかなストーリーと、この雲南省の雄大な風景を背景にした映画作品には、どこか一脈通じる暖かさの様なモノを感じる。

No.1レディース探偵社シリーズは、英語版は7冊ぐらい出ている様だし、スウェーデン語版も6冊出ている。日本語版も2冊出ているから、是非、皆さんにお薦めしたい。
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by yasuhito_mori | 2007-07-31 14:40 | 映画